デザインセミナー Series X
「現場からの問題の受け取り方と仕事のデザイン」
~エスノメソドロジー入門~
デザインセミナーは、さまざまな専門分野のデザイン理論・手法について、講義で学びつつ、デザインワークショップで実践的に習得します。これにより、自らの専門や業界を超えて、俯瞰的・多角的な視点から問題発見や価値創出を行う力を身に付けます。
プログラムの趣旨
デザインを行うときに「現場で問題を発見する」というのはよく言われることですが、「現場の問題」が何を意味するかは、実はそれほど明確ではありません。エスノメソドロジー(Ethnomethodology)は、現場で人々がどのような問題に取り組んでいるかを経験的に明らかにする方法論です。この手法は、実際の相互行為を分析し、現場で人々が直面する課題や、それをどのように工夫して解決しているかを定性的に明らかにします。
企業が仕事のあり方をデザインしようとするとき、難しいことのひとつは、人々が現場(典型的には店舗)で実際にどんな課題に直面し、その課題を乗り越えていっているのかわからないということです。このセミナーでは、この問題と向き合うためにこれまでクリーニング屋、ジュエリーショップ、寝具小売店、ハンバーガー屋、イタリアンレストラン、江戸前鮨屋、料亭、ホームセンターなどの小売店や飲食店で調査・分析をしてきた講師の監修のもと、特にサービス産業の現場における仕事をテーマに、「現場から問題を受け取る」方法、「現場での解決の仕方を調べる」方法を学び、これらに基づいて「現場をデザインする」方法について考えます。
これにより、顧客の深い理解、オペレーションの改善、現場の問題解決力向上などが期待できます。また、サービス産業以外の企業や間接部門などにおいても、社員を含む人々の相互行為を分析し、現場を適切にデザインすることは、企業が成長するために必要です。皆様のご参加をお待ちしております。
◆企画・監修:平本 毅 氏(京都府立大学文学部 准教授)
◆ワークショップ実施:伊賀 聡一郎 氏(エクスパーク合同会社 代表)
学習目標
・エスノメソドロジーの考え方を学ぶ
・現場で問題を、現場の人の見方に寄り添って発見する
・現場での問題の解決の仕方を見つける
・現場のデザインの方法についての見識を深める
カリキュラム(予定)
カリキュラムのポイント
1. エスノメソドロジーの考え方を学ぶ
現場で人びとがやっていることを定性的に明らかにするエスノメソドロジーの考え方を学びます。そのさい、実際のデータを用いた演習を行います。
2. 人的労働の有効性について考える
人的労働が機械やAIに置き換わる中で、どんな種の労働は人間が行ったほうが良いのかを、実際の労働場面のデータから考える機会を提供します。
3. 現場のデザインの方法について見識を深める
現場のデザインはどう行うべきかを、実際のデータの分析に基づきグループワークで学びます。
講師
平本 毅 氏(京都府立大学文学部 准教授)
博士(社会学)。京都大学経営管理大学院特定講師等を経て現職。専門はエスノメソドロジー・会話分析。さまざまな対人サービス労働場面の分析を行う。主要業績に平本毅(ほか)編(2018)『会話分析の広がり』ひつじ書房., Hiramoto, T. and Hayashi, M. (2022), ""How about Eggs?": Action Ascription in the Family Decision-Making Process While Grocery Shopping at a Supermarket", In Action Ascription in Social Interaction (Arnulf Deppermann, Michael Haugh, eds.), Cambridge, Cambridge University Press, pp. 208-233., Hiramoto, T. (2024). Framing offer-related actions as assistance at jewelry stores in Japan. Discourse Studies, 26(4), pp. 481-509.など。本コンソーシアムではデザインレクチャーシリーズの講義を担当。
ファシリテーター
伊賀 聡一郎 氏(エクスパーク合同会社 代表)
1999年慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程修了。博士(政策・メディア)。(株)リコー研究開発本部、リコー経済社会研究所研究員、パロアルト研究所(PARC)日本代表/シニアリサーチャーを経て、エクスパーク合同会社設立。専門はインタラクションデザイン、CSCW、エスノグラフィのビジネス応用、研究マネジメントなど。D.A.ノーマン『誰のためのデザイン? 増補改訂版』新曜社(共訳)をはじめ訳書・著書多数。
開催概要
日程・場所:
2025年2月17日(月)~18日(火) 京都リサーチパーク
定 員:30名程度
※最少催行人数10名(最少催行人数に達しない場合は中止となります)
参加費:
<S会員 無料>
<A・E・特別会員、京都大学教職員 120,000円>
<B会員 140,000円>
<非会員 160,000円>
<京都大学学生(※)(若干名) 無料>
※京都大学デザイン学大学院連携プログラム 参画専攻に所属の学生、および京都大学デザイン学コース履修者
デザイン学参画専攻は京都大学デザインスクールのFAQのA2をご覧ください。
・お支払い方法は請求書払いとなります。開催後に請求書をお送りいたします。
お申込みは、こちらから
申込〆切:2025年2月3日(月)
※「企業から○名」という形で、先に参加枠の仮申し込みをしていただくことも可能です。
(事務局へご連絡ください)
キャンセル規程:
・参加者のご都合によりお申込み後にキャンセルされる場合は、以下のキャンセル料を申し受けます。
開催日の7日前から前々日 :参加費の30%
開催日の前日から当日 :参加費の100%
留意事項:
・Day 1(2/17)の終了後に懇親会を予定しています。
・学生の参加枠には限りがあります。また、事前に指導教員、または所属する部局のデザイン学関連教員にご相談ください。
パンフレット:準備中
※概要版(2024/6作成)はこちら
主催:京都大学デザインイノベーションコンソーシアム
後援:京都大学デザイン学大学院連携プログラム
お問合せ先
京都大学デザインイノベーションコンソーシアム事務局
公益財団法人京都高度技術研究所内 野木・十河
mail: info_at_designinnovation.jp (注:_at_を@に変更してください) 電話:075-323-7073