1月13日にイノベーティブ人材のキャリアパスを考える機会として、「キャリア交流会:社会情報学専攻Xデザインイノベーションコンソーシアム」が開催されました。
本会は昨年度末に続いて第2回目の開催となりました。人材育成を目的とするデザインイノベーションコンソーシアムとデザイン学参画専攻の協働です。就職・採用に特化した会ではなく、キャリアパスを考える会とすることができました。ワークショップでは、企業人や教員が自身のキャリアパスについて自由な評価軸で図示し、その上で学生が望む進路を描き加えました。企業人の仕事へのモチベーションや人生の充実度などを軸としたキャリアパスがありありと描かれ、新しいことに挑戦していくことが情熱を維持し続ける鍵であることを学生が認識できる会となりました。
日 時:2017年1月13日 15:00-20:00
主 催:京都大学情報学研究科社会情報学専攻
後 援:デザインイノベーションコンソーシアム
京都大学デザインスクール
参加者:社会情報学専攻および知能情報学専攻の修士・博士学生
デザインイノベーションコンソーシアム会員企業
社会情報学専攻出身の企業就職者(博士取得者を含む)
社会情報学専攻教員・知能情報学専攻教員・デザイン学ユニット教員
約45名
場 所:デザインファブリケーション拠点(吉田キャンパス)
【専攻長挨拶】
大手 信人 情報学研究科社会情報学専攻長
【イノベーティブな研究紹介/社会情報学専攻および知能情報学専攻の修士・博士学生】
◆藤本政宏(情報図書館学分野)
「読書傾向の分析に基づく書籍の検索」
知らない分野において、自分に適した本を選ぶことが難しい場合がある。これは、非専門家にとって提示されている本の情報からだけでは、それらの本の特性(専門性・具体性・実践指向か理論指向かなど)を推測するのが難しいためである。そこで、本研究では、異なる書籍の特性を比較可能とし、特性の指定により検索を可能とするため、Web上で得ることのできる読書履歴からのその特性を推定する方法を提案する。この方法では、本の特性は読者の特性により、また、読者の特性は読んでいる本の特性により決定されるという仮説に基づき、明らかであるような本の特性を読者-書籍グラフ上で伝播させることにより任意の本の特性を推定する。
◆北野清晃(生物環境情報学分野)
「ワークショップにおける組織デザインの探求」
情報やデザインの分野でも様々に実践されるワークショップ。ワークショップは状況依存的な出来事への即興性が求められる場であるが故に、ワークショップ特有の人々の実践方法が存在します。今回は京都大学でのワークショップイベントでのビデオデータをもとに組織デザインの観点から相互行為分析をした一例をご紹介します。
◆Chenyi Zhuang(分散情報システム分野)
「Obscure Sightseeing Location Recommendation」
Recommending points of interests (POIs), in the urban computing research area, is drawing more attention to meet the growing demand for tours. The collections of geo-multimedia, which are a result of sightseeing experiences sharing by web communities, provide researchers with excellent opportunities for discovering and ranking POIs. In contrast to conventional studies of discovering hot or famous spots, we are investigating how to devise a general solution to discover not only the famous POIs, but also the obscure ones that are less well-known while still worth visiting. To this end, there are two challenges: how to discover and rank sightseeing POIs on the basis of (1) popularity (obscurity) and (2) scenery quality. This talk will present selected work that attempt to address these two challenges and introduce novel ideas for POI recommendation.
◆山本修(広域情報ネットワーク分野)
「因果推論を用いたサービスワークフローの品質解析」
Webサービス技術の普及により、単一の機能を持つサービスをシームレスに統合し、新たに大規模で価値あるサービスを構築することを試みるサービス指向コンピューティングの考え方が広まっている。従来の研究では、サービス選択を行う際の指標として、値段、応答速度、評判等といった非機能側面の指標が用いられてきたが、本研究では、因果推論を用いて翻訳品質等の機能的側面の指標を推定することにより、機能的側面を考慮したサービス選択が可能となる手法を提案する。
◆舩越康希(危機管理情報システム分野)
「熊本地震における避難場所の同定」
2016年4月14日、16日に発生した熊本地震では、想定されていた以上の避難者が避難所に殺到し、指定避難所だけでは避難者を収容できなくなった。その結果、指定の避難所以外にも指定外の箇所で多数の避難所が形成された。この指定外の避難所は、場所が認知されていないため、発災初期に支援の手が届かないという問題をもたらした。そこで本研究では、そのような行政から認知されないような避難所を同定する手段として、携帯電話の位置情報を主計したデータを用いて、避難所を推定する手法を提示し、合わせて発生過程や広域避難の実態を明らかにする。
◆Maryam Sadat Mirzaei(知能情報学専攻音声メディア研究室)
「Partial and Synchronized Caption: a novel tool to train second language listening skill using automatic speech recognition clues」
Among different skills needed to learn a new language, listening is the least explicit hence the most sophisticated skill to master. One popular tool to train listening skill is captioning. When using captions, however, many learners rely on their reading skill and neglect the goal of training the listening skill. We attempt to solve this problem by introducing a novel tool, partial and synchronized caption (PSC), which aims to scaffold the learners through detecting difficult words/phrases, presenting them in the caption, and removing easy words to encourage more listening. PSC employs effective criteria for selecting difficult words and speech segments, utilizes automatic speech recognition errors as the predictor of difficulties in speech, and adjusts the amount of shown words to the level of the learners. This talk will present the PSC system and discusses its benefits over other captions.
【イノベーティブな活動紹介/デザインイノベーションコンソーシアム会員企業】
◆木村篤信(NTTサービスエボリューション研究所 ユニバーサルUXデザインプロジェクト)
「NTT研究所のイノベーションに向けた取り組み」
2000年大阪大学工学部卒業。同年。奈良先端科学技術大学院大学修士課程入学、2001年University of Oulu留学、2003年修士課程修了。同年日本電信電話(株)入社。主としてHuman Computer Interaction、 Computer-Supported Cooperative Work、 Service Design、 UX Designの研究開発に従事。博士(工学)。経済産業省主催「始動Next Innovator2016」2期生。著書に「ユーザビリティハンドブック、共立出版、2007」「2030年の情報通信技術 生活者の未来像、NTT出版、2015」
◆福田卿也(株式会社博報堂)
「博報堂が取り組む生活者主導イノベーション」
1998年に京都大学の経済学研究科修士課程を修了。博報堂入社。企業・政府機関をクライアントにした広告コミュニケーションの戦略立案に関わりながらクライアントに新商品開発、事業開発に関わるようになる。最近では、デザインシンキングからのイノベーション創発や要素技術の用途開発、街づくりのビジョン策定など幅広く"開拓のお仕事"に携わる。
◆鉄川弘樹(ソニー株式会社 研究開発企画部門・技術戦略部)
1996年、東京大学大学院工学研究科材料学専攻 中途退学。1998年、大阪大学大学院工学研究科材料物性工学修士課程 修了。同年、ソニー株式会社へ入社し、事業所にて磁気メディア開発、研究所にて磁気デバイス研究を行った後に、信号処理アルゴリズム研究に従事する。その後、研究マネジメントに携わり、現在、技術戦略部 統括部長。また、上記の実務を行う傍ら、2005年、大阪大学大学院工学研究科博士号 取得、2011年、北陸先端科学技術大学院大学知識科学専攻修士課程 修了、技術経営(MOT)修了。2016年よりデザインイノベーションコンソーシアム拠点フェロー。
◆西村祥治(NEC中央研究所 システムプラットフォーム研究所 リアルタイム分析基盤TG)
「研究開発技術を起点としたイノベーション事例」
2001/03 京都大学大学院情報学研究科通信情報システム専攻修了(修士)、1999/03 京都大学工学部情報学科 卒業(学士)、2010/01-12 カリフォルニア大学サンタバーバラ校 客員研究員、2001/04 NEC入社
【ワークショップ】
「イノベーティブ人材のキャリアパスをデザインする」
【発表会】
ワークショップの議論内容の報告