IoTの未来を構想する
本セミナーは、IoTの将来を構想するために企画した。ICTの発展により、様々なレベルでの情報が流通し、組織・コミュニティに影響を与えている。今回は、IoT全体の俯瞰、ものづくりに関連したトピックスに関する話題提供に対して、異なった視点からの意見交換を行った。
◇日時:2016年4月12日(火)15:00~17:30
◇講演:「IoT の動向」( モノづくり、ビジネスモデルへのインパクト)
講師:桑津 浩太郎氏(株式会社野村総合研究所 ICT・メディア産業コンサルティング・部長)
◇パネルディスカッション
モデレータ :京都大学工学研究科 教授 椹木 哲夫
パネリスト :京都大学工学研究科 教授 松原 厚
:京都大学情報学研究科 教授 石田 亨
:株式会社野村総合研究所 桑津 浩太郎氏
桑津様より、まず、IoTのインパクトについて、広くビジネスへの影響と動向を紹介していただいた。要約は以下の通り:ヘルスケア・エネルギー・社会インフラなどは、社会共感はあるが、長いトレンドになりそうである。公的な支援は、規制と連動しなければならない(エコポイント、廃ガス規制など)。IoTの成長の可能性が高いのは、自動車(モビリティ)、コンビニ、製造業(精密産業など)分野で、メンテ、安全や顧客ニーズ把握のための情報収集に活用されていく。また、人手不足(自動化)はまったなしの課題であり、解消のためのIoT応用は動きが速いと予想される。
次に、松原教授より、Indsutrie4.0の背景について考察するショートプレゼンがあった。まず、製品側では、機能価値から意味価値へのパラダイムシフトが起こっており、生産すべき価値の平準化が難しい現状に対して、多品種少量生産における情報の活用により在庫を持たない工場を目指すための生産システムの在り方について説明があった。また。生産におけるデータはノウハウに直結することから、ビッグデータ解析か可能か?という問題も提起された。
続いて石田教授より、情報学視点でのショートプレゼンがあった。これまでのIoSのパラダイムでは、物理空間とサイバー空間の境界にスクリーンがあった。IoS+IoTになるとこの境界が消滅し、サイバーフィジカルシステムに大きなパラダイムシフトが生じる。またこれまで、情報財の限界費用がゼロであるために巨大情報企業が出現してきたが、IoTの時代では物理空間をマネジメントする限界費用がゼロとなるため、生活全般をカバーする巨大情報企業が出現する可能性があることが示唆された。
ショートプレゼンの後、モデレータの椹木教授の司会のもとにパネルディスカッション形式で質疑応答が行われた。"データは誰のものか?"、"エキスパートをどう育てるのか?"、"人工知能はどのように発展するか"、"データを収集してつくったサービスが幸せか?"といった問いに対して活発な議論が行われた。