「イノベーションに向けてチームで響きあう研究開発 ~ 将来に向けた新たな価値創造を目指して ~ 」
講師: 牧村 実 (川崎重工業株式会社 常務取締役 技術開発本部長)
川崎重工グループには、「船舶海洋」「車両」「航空宇宙」「ガスタービン・機械」「プラント・環境」「モーターサイクル&エンジン」「精密機械」の7つの独立したカンパニーがあり、それぞれが独自の歴史とカルチャーとともに多彩な製品と幅広い技術を保有し、異なった市場環境の中で自立自存のビジネスを展開している。このような中で該社グループでは、新製品や新技術の開発において、開発の初期段階からカンパニー内の設計や生産の担当者と技術開発本部の専門技術者(スペシャリスト)がチームを組んで取り組んでおり、これをマトリックス運営と呼んでいる。例えば海外向けの高速鉄道車両なら、速度や軽量化の顧客要求に対し、安全性や環境への配慮、快適な移動空間の提供、リーズナブルな価格なども必要で、二律背反どころか五律背反くらいの難しい課題が存在する。これをどう乗り超えるか、各分野のスペシャリストを含むチームで議論しながら開発を進めることにより、開発当初は絶対無理だと思えたものが、ある時突然美しい全体最適の形となってまとまりを成すことになる。これを可能にするのは、チーム全員が共通の将来ビジョンを持ち、本質的な課題を共有し、それぞれの立場で真剣に解決に向け努力しているからである。そして、開発に携わり成功体験を重ねた人財がリーダとなり、更に新たなチームで次のゴールをめざすことになる。また当該本部の技術者は、鉄道車両、航空機、ガスタービンと、その時々で違う案件に携わり、これにより、開発した技術を全社へ水平展開することも可能にしている。技術開発本部では、このような役割を担うことにより、イノベーションを目指し、グループ全体の「新製品・新事業」の開発を効率的に推進し、グループ全体の求心力を高めることで、さらなる企業価値の向上を目指している。
講演では、製品開発と技術の横展開、技術戦略と将来へ向けた取組み(水素プロジェクトなど)、技術によるグループ総合力の強化などについて、具体例を挙げながら、トップ自らに生の声で語っていただくと共に、その鍵となる「人財」像についても議論を進めて参ります。
エネルギー、インフラ、交通など、国の骨格を担う重工業の技術開発マネージメントに直に触れることによって、新たな視点から次世代のビジネスデザインにつなげていきましょう。
日時: 2015年3月25日(水) 開始時間;17時30分(19時頃から懇話会・有料)
場所: 京都大学デザインイノベーション拠点(KRP9号館5F)
http://www.design.kyoto-u.ac.jp/access/
対象: デザインイノベーションコンソーシアム会員、京都大学教員・学生、一部招待者
定員: 40名程度
参加費: 無料(懇話会1000円)
主催: 京都大学デザイン学大学院連携プログラム / デザインイノベーションコンソーシアム
申込: ★ご好評につき、申込受付は終了いたしました。
締切: 2015年3月18日(水)
問合せ: デザインイノベーションコンソーシアム 事務局
京都リサーチパーク(株) 山口
mail: info_at_designinnovation.jp (注 : 「_at_」を@に変更してください)
電話:075-315-8522
講演者ご紹介: 牧村 実 (まきむら みのる) 川崎重工業株式会社 常務取締役 技術開発本部長
プロフィール: 昭和50年、京都大学大学院工学研究科修士課程を修了し、川崎重工業(株)入社。モーターサイクル部門を経て、本社技術開発本部で数々の研究開発に携わり、平成11年、技術研究所 研究企画部長、平成18年、技術開発本部 技術企画部長、平成20年、執行役員 技術開発本部副本部長 兼 技術研究所長、平成23年、常務執行役員 技術開発本部長を歴任。平成25年から常務取締役。工学博士。
日本経済を支え、世界をもリードしてきた電子産業の凋落傾向は否定できず、これに代替する新産業の興隆、これの萌芽となるベンチャー企業の勃興も期待値からは、遠い状況にあります。このため、日本は経済・産業の視点からも大きな転換を余儀なくされ、まさに、産業・ビジネスをグローバルに設計(デザイン)し直す時を迎えています。
元シャープ常務・京都大学デザイン学ユニット特任教授の貫井孝氏プロデュースの本シリーズでは、産業界の一線で活動している、または実績のある企業人を招き、ビジネス現場の実態、抱えているビジネス課題、その突破口、戦略、そのための人材論などアクチュアルな講演をいただきます。これをもとに、産・官・学の参加者が、質疑、試論を交わし、ビジネス価値、ビジネスモデルを創造する思考起点となることを期待しています。
国の経済活動の中枢を担う「産業・企業・グローバルビジネス」という切り口から、様々な分野・バリューチェーンにおける解決課題の認識と方向性、それを可能とするイノベ―ティブな人材要件などを語り合い、それぞれの立場の人々のモチベーションを高めるとともに、「これから」のビジネスイノベーションに繋がる一歩とすることを目指します。
京都大学工学部卒業。シャープ(株)中央研究所を皮切りに、同社電化システム事業副本部長、生産技術開発推進本部長、取締役IC事業本部長等を歴任。平成22年より同社常務執行役員生産技術統轄。同社顧問を経て、平成25年12月より京都大学デザイン学ユニット特任教授。